オーストラリアの全国不動産価値は、3月のピークから9月までに5.2%下落しました。価格は6カ月連続で下落し、ドメイン(Domain)の価格データによると、一般的な住宅価格はおよそ1年前の水準まで戻りました。ただし、今後さらにどれほど下落するかは、まだ確定していません。

背景と経緯

今回の下落は、5月の連邦予算で発表された税制改革と関連づけられ、議論を呼んでいます。しかし、オーストラリアの大半の地域では、予算発表前から市場の下落局面が続いていました。初めての公式利上げの後、価格は3月にピークをつけて下落しました。

予算に盛り込まれたネガティブ・ギアリング(賃貸不動産の損失を他の所得と相殺する税務上の扱い)とキャピタルゲイン税の規則強化が価格に与える影響について、財務省の専門家は、数年かけて約2%の下落をもたらす程度と試算しました。この試算と、今年の下落の主な要因は区別して考える必要があります。記事は、過去30年間、金利低下が住宅価格上昇の主な原動力だったことから、今年の価格下落には利上げが大きく影響したと説明しています。

オーストラリア準備銀行は先週、年初から4回目の利上げを実施しました。金融市場は、11月または2027年に少なくとももう1回の利上げを予想しています。こうした状況を受け、コタリティ(Cotality)の調査責任者ティム・ローリス氏は、住宅価格全体が10~15%下落するというのは妥当な推定だと述べました。これは予測であり、確定した結果ではありません。

15%の下落は、過去の下落局面で一般的だった5~10%の下落幅を上回ります。ただし、SQMリサーチ(SQM Research)指数によると、住宅とアパートを合わせた全国の不動産価格中央値は2020年以降78%上昇しているため、15%下落しても価格は2024年初めの水準に相当します。

このニュースが意味すること

価格の下落は、一部の購入希望者にとって住宅を購入する機会を広げる可能性がありますが、購入の負担が自動的に軽くなるわけではありません。金利が上がると、住宅価格だけでなく、購入者が借りられる金額も減るためです。特に初めて住宅を購入する人は、価格だけでなく、借入可能額や返済負担もあわせて検討する必要があります。

価格下落の程度は、住宅の種類や価格帯によっても異なりました。コタリティの分析によると、シドニーでは上位4分位の住宅の下落幅が下位4分位より5.3ポイント大きく、メルボルンではその差が6.6ポイントでした。したがって、価格が下がっても、比較的購入価格の低い住宅が同じ幅で値下がりするとは限りません。

一方、最近住宅を購入した世帯の一部にはリスクが生じる可能性があります。マイナス・エクイティ(住宅の価値よりローン残高のほうが大きい状態)は、2025年に少額の頭金で住宅を購入した初めての購入者にとって、特に問題となる可能性があります。たとえば、少額の頭金で住宅を購入した後に価格が下落し、ローン残高が住宅価格を上回った場合、その購入者はマイナス・エクイティの状態に陥る可能性があります。ただし、記事はこのリスクがすべての住宅所有者に等しく当てはまるとは述べていません。

住宅価格の下落は、初めて購入する人にとって購入への足がかりとなる一方、金利上昇によって借入余力が低下し、一部の購入者にはマイナス・エクイティのリスクが生じる可能性もあります。

下落の影響は、住宅を売買する人だけにとどまりません。ウェストパック(Westpac)が報告した住宅取引件数は、前年同期比で17%減少しました。価格の下落と取引量の減少が同時に起きれば、不動産業界の活動が縮小し、取引に連動する印紙税収入にも圧力がかかる可能性があります。

関連する制度・支援情報

記事で取り上げられている税制改革は、ネガティブ・ギアリングとキャピタルゲイン税の規則を強化する内容で、財務省の専門家は価格への影響を数年かけて約2%と試算しました。この試算は、住宅市場全体の下落をこの政策だけで説明するのは難しいという背景を示しています。記事は、大半の地域で下落が5月の予算発表前にすでに始まっており、今年の利上げが主な要因だと説明しています。

州政府の財政に関しては、ニューサウスウェールズ州とビクトリア州では、2022~23年に州内で徴収した税収のうち、印紙税が18.5~22.5%を占めました。記事は、幅広く課される土地税に印紙税を置き換えれば、州・準州政府の歳入をより安定させ、住宅市場の変動を抑えることに寄与する可能性があると主張しています。これは記事による政策提案であり、移行方法や具体的な実施日程は示されていません。

確認された事実と、まだ分からないこと

確認された事実

  • 全国の不動産価値は3月のピークから9月までに5.2%下落し、6カ月連続で値下がりしました。
  • ネガティブ・ギアリングとキャピタルゲイン税の規則強化が価格に与える影響について、財務省の専門家は数年かけて約2%と試算しました。
  • コタリティの調査責任者は、価格全体が10~15%下落するというのは妥当な推定だと示しましたが、確定した結果ではありません。
  • ウェストパックが報告した住宅取引件数は、前年同期比で17%減少しました。
  • ニューサウスウェールズ州とビクトリア州では、2022~23年に州内で徴収した税収のうち、印紙税が18.5~22.5%を占めました。

まだ分からないこと

  • 住宅価格が実際に10~15%まで下落するかどうかは、確定していません。
  • 記事に掲載されたチャートの具体的な数値データや算出方法は、本文に示されていません。
  • 金利や取引量の変化が今後、各地域・価格帯の住宅価格にどの程度反映されるかは、記事だけでは分かりません。

読者が確認すべきこと

  • 最近住宅を購入した人は、現在の住宅価値とローン残高を比較し、マイナス・エクイティのリスクがあるか確認できます。
  • 初めて住宅を購入することを検討している人は、住宅価格の下落だけで購入負担が軽くなると決めつけず、金利上昇に伴う借入可能額の変化もあわせて検討する必要があります。
  • 住宅政策を検討する際は、価格動向だけでなく、取引量や州政府の税収に占める印紙税の割合、印紙税を土地税に置き換えるという提案の進捗もあわせて確認する必要があります。